ホメオスタシスとは昔理科で習った通り「恒常性」の意ですが、様々な会社組織を見ていると、このホメオスタシスがどのような大元で働いているかがとても重要な事だと気づきます。私が社会人生活をスタートした会社は単純明快「信賞必罰」という根っこがはっきりしていました。これに基づいて管理職になった者は自チームを率いていきます。配下2名の主任から課を任される係長、支店を任されるチーフにエリアを任される部長、会社を一手にまとめる経営陣迄「イズム」として浸透していたように思います。もっとも、イズムが崩壊していくとどうなるかということも間近で見たわけですが。

 

 

 

「問題はあるけどまとめ上げる効力としては差し引いて〇」という人物・しくみがあります。例えば言葉や指示に影響力はあっても自分のことは棚に上げる方、過去の実績を盾にして外的環境も社員の質や傾向も変わってきているのに「功績」で影響力のある方、単純に恐怖支配する方等。ちょうどアマチュアスポーツの闇が順番待ちのように白日の下、さらされていっていますが、長期政権によって徐々に正しいとは言えない何かが萌芽して、客観性なく伸びる枝葉のあれこれが、次第に政治力のある人(不思議と長けた方がいる)や、利己的な軸を持つ人物が、人に思考を預ける慣習の組織に深く入り込んで「逆らえない何か」に変容していく。絶対的な存在には必ず清濁混じっているのですべてが悪だとは言い難い。むしろその強烈な影響力によってさまざまなものが制御され、他からの干渉を許さず、一見問題なく組織は巡行していく。

 

 

 

会社組織においては「なぜ人が定着しないんだろう」「なぜ今からという人財が大勢いなくなるんだろう」「評価、登用に違和感がある」「帰属意識や組織貢献への動機が薄い」「モノが言いにくく、事なかれ主義の中堅が多い」などの現象が出ていれば要注意です。ガバナンスの効きにくい中小から、ハウスルールの濃い老舗に至るまで可能性はありません。一見リーダーシップに見えても、果たしてそれは「全社最適」に働いているかどうか。

 

 

 

業績も人員構成も乱高下では困ります。のんびり成長を待って仕上げていくほど余裕のないというところがほとんどでしょう。しかしながら健全な機能を果たせない砂上の楼閣ではいずれの日にか瓦解していくもの。安易に「任せているから大丈夫」と特定の人物に権力が集中していたり、提言の偏りがあると本質は全く見えてこない。公平性あっての健全。議論は面倒だし面談なんかしている時間はないのかもしれない。しかしそれを捻出するのは必須最優先。人間は感情で動くのです。その集積である組織も然り。正かつ善の方向へ推進力を高めることを指し示すことが大切かと思います。決して理想論ではありません。

 

 

 

御社のホメオスタシスはどのように作用していますか?