真面目と不真面目と私

もう大昔の話ですが、営業職で責任者をしているとき、新卒で迎えた社員の中の一人にX君がいました。大学こそ少し長めに行っていたものの、真面目で真面目で真面目なタイプでした。同期で入社したおふざけの過ぎるY君に比べるとまったくの対極。しかしながら「営業職」として最初に機能したのはY君の方でした。

 

なかなか結果の出ないX君の仕事内容を毎日聞いていましたが、誠実さや人間的な面において申し分なく、なぜ機能しないのだろうと同行など試しました。人は性格を変えることはできません。X君は真面目なのでさぼったりしませんから行動を微調整すべく「勘」を磨かせることに専念しました。

 

しかし、一旦軌道に乗るとこの「真面目パワー」は際限なく可能性のあるもの。今日の仕事はこれくらいでいいか・・という感覚がないのでどんどん次!次!と行動し続けます。一方どちらかというと「不真面目」気質なY君は、長期的にみると非常に波があり、一旦落ちるとなかなか上がれない状況に苦しんだりしていました。それでも「灯台もと暗し」で、基本に戻せば大抵は復活しましたが・・

 

X君とY君は互いによいライバルだったと思います。しかし、あるときX君の営業数字が低迷し出します。よくよく話を聞くと「付き合っている彼女があまり仕事をよく思っていない」とのこと。確かにキツイし、出張多いし、夜も遅い仕事。当時会社もいろいろな対策をとりながら修正を図っていましたがなかなか改善されずにいました。実際、そういったことが理由で定着率は悪かったと思います。ある日の夜。夜中と言ってもいいかもしれませんが、彼女も交えて3人でファミレスで話したことを思い出します。

 

社交的でイメージとは全然違う彼女でしたが、いざ彼の仕事環境に協力を求めると頑なな態度をとっていました。真面目なX君には、あまりに影響大きかったと思います。結局、別事業に部署を変えて仕事をすることになったのでした。あのときもしも別の選択があれば(彼に主体性があれば)何か変わっていたかもしれません。

 

私はどちらかというと真面目ではないと思います(不真面目でもないですが)。ところが最近”生真面目気質”に関して考えることが多く、新たにどういう風にすることが最善かをさまざまな角度から考えています。育ってきた環境が違うから・・という歌がありましたが、まさに価値観は覆ったりしない。しかし、向かう目的に到達するには、X君が営業成果を上げた時のような微調整が欠かせないと考えます。目的すらない人にはその目的をどのように描いて歩みだすか。

 

難題です。ただ、「道はひとつではない」ということは確か。取り組みに加担する私もまたどこかで凝り固まっていると感じるので、一歩離れたり、近づいたり、右から左から、上から下から、走ったり歩いたり、そんなことを繰り返しながら使命を全うしていきたいと思います。