採用の精度

本年度も某行政機関より面接設計の打診をいただきました。昨年同様、打合せを経て丸二日かけて準備していきたいと思います。採用人数や基準に民間ほどファジーにいけないので短時間で慎重に見極めていかなくてはなりません。また、戦略的に秋以降の採用を行うクライアントにとってもこれからがコアシーズンになるのでひとつひとつ入念に関わっていきたいと思います。

 

採用は一筋縄にはいかないものです。課題を種別に分けるといくつかあります。

 

まずは「応募がない」というもの。新卒・中途ともども感じる事ですが、規模の大小に関わらず企業の「採用力」というものは積み重ねていくものだと思います。特に私が主戦場にしている愛媛県ローカル地域では、都心部に比べてもともとの応募対象パイが少ないのは火を見るよりも明らか。地道に募集をかけ、応募者と向き合い、自社現状とビジョンに共鳴する人を採用することを繰り返していかなければなりません。テクニックやタイミング、企業イメージは少しずつ培われていくものと感じます。

 

応募が来ても「選考力が課題」というところも多いと思います。少ない採用人数の中でいかにして適正な人財を見出していくのか。やはり採用はどちらが上でも下でもなく、同じ目標に向かえる仲間づくりと考えた時、目的の曖昧な圧迫面接は論外であり、明確な採用基準の設定準備が必要であると考えます。採用担当者が10人いても10人が同じ評価基準で評価していき、過剰な感情論や好き嫌いを排除していかなくてはいけません(とはいえ、フィーリングも必要な場合はあると思います)。

 

あとは「内定承諾」。ここには採用する側される側、互いに理解しあえるような話し合いが出来ているかと、非科学的ではありますが“縁”が関わってくると思います。縁はコントロールできないので、“話し合い”を受け入れたい組織側が能動的にどこまでトコトンするのかが重要です。そこには単に人員補充という考えでは立ち行かないこだわりが必要になると思います。目的のはっきりした採用は、結果として縁も手繰り寄せることができるでしょう。

 

学生側からしてみると、それほど職業意識もないままに迎える3回生12月就活スタート。世の中の媒体が強く作用する潮流に上手く乗れない人もいるはずです。面接で志望動機などを聞きますが、そこに深みを求めすぎるのも酷な話。就活によって成長するともよく聞きますが、その動き方、この時期に急激に醸成される社会人への適応意識など、面接官が見つめるところはたくさんあるはずです。積極採用企業はまさに採用活動を通じて彼らに胸を貸しながら、身内のように接してあげることが肝要。ゆとりなどという言葉で片付けるのではなく、やはり面接・選考する側も綿密な準備や姿勢や覚悟を持って接していくことが求められます。それが結果的に、素晴らしい原石を獲得でき、ひいては組織力の強化となっていくのだと思います。

 

私は曲がりなりにも面接や選考を生業としていますので、その姿勢でお客様と応募者にお応えしたいと思います。時間や手間がかかるのは、人の人生のひとつの入口に関わるからにほかなりません。忙しくなっても真摯に向き合いたいと心がけていきます。