選考の過程で“自組織に優秀かつ適正か”を図る。

と、題目で書いてみたものの、優秀の概念も適性の基準も受け入れる組織によって随分変わってくるもの。「寡黙にコツコツ打ちこめる持続力重視の人がよい」と考えるところもあれば「積極的で社交的。物おじせずにどんどん人に接していける人がベスト」と決めているところもある。

 

私も多くの企業様の選考に携わり、少なからずアドバイスを求められたり、実践のお手伝いをしたりしているのだが、最低限考えなければいけないのは「選考基準」だと思う。それには、「どんな人が活躍し得るか」を具現化しなくてはいけない。そのために様々な方法をとる。抽出した基準は、判断基準としての標準化が必要になる。面接や選考のスキルは評価者といえども人それぞれである。違うがゆえに意味もあるといえる。しかし、評価するポイントや着眼点が大きくずれることは好ましくない。ここを標準化しておくための作業が必要だ。それが評価項目を精査した面接シーとなる。その内容をしっかり理解いただき、できるだけシンプルかつ容易に記入できるものがよいと思う。

 

簡単に書いたが準備と言えばこれくらいである。見極めていくための施策は複合的なものが良いと思う。コンピテンシー面接に象徴されるように「素」を見ていくことがポイントになるだろう。

 

よく新規お取引の際に「御社の採用要件はなんですか?」と投げかけると「コミュニケーション力のある人」「打たれ強い人」などが返答として多いが、そこをもう一歩踏み込んで「どんなコミュニケーション力か?」「自社にとって打たれ強いとは具体的にどういうことか?」などを掘り下げていく必要があると思う。基準作りもコンピテンシー測定的な発想が求められると思う。

 

つまり、採用活動は思い付きや勘に頼るのではなく、自社風土にカスタマイズされた内容を設計・組立てて運用していくことが大切なのだ。企業にとっては採用活動とは一種恒例業務のような位置づけになりがちだが、毎年、毎回、応募してくる様々な人は原則的に一度しか選考のテーブルにのることがない。つまり、ひとりひとりが人生の糧、成長の場を求めてやってきているのである。そこにどれだけ真摯に向き合えるかがまさに採用活動の大前提であり、誰もが求める相手ありきの発想にほかならない。採用活動の取り組みそのものが企業姿勢のすべてを象徴し、プロセス・結果の悲喜交々はお互いにあるのがふつうである。