動機づけ

 

組織を管理する立場になると、ほぼ全員の方が「チームのモチベーションを管理して成果をもっとあげていきたい!」と考えられるのではないでしょうか。

 

私もかつて完全な営業組織で中間管理職や支店長を経験させてもらいました。最初はがむしゃらに「面倒をみる」という曖昧な軸で時間共有のみに気を付けてやっていました。

ところが、これが結構うまくいったのです。ザイアンスではないですが、人は繰り返し会い、互いの人となりがわかりだすと、自然に打ち解けあえるものなのです。このときは、時間の共有こそ部下にとって一番の薬だと確信していました。

やがて、手法は同じながら会社の評価を気にするようになります。裏表があったわけではないですが、とにかく自分との「利害」を意識してしまうようになっていました。そうなると、どこか心が離れているので思うように人は育ちませんでした。育成はおろか、短期間で去ってしまう人が増えたのです。このときに「定着フロー」の大切さを学んだのでした。利己的では永遠に定着はしてくれません。未熟な段階は一人前になるための「負荷」と、現状踏まえての「理解」が必要なのです。

自分で支店を運営するようになると、おこることはすべて自分の責任です。売り上げ目標と適正人員は絶対的に達成していかなくてはいけません。すると今度は自然に「大切な身内」のように、部下を思えるようになってきました。もちろん私も荒削りなので嫌だなあと思った人は多かったと思いますが・・。しかし、ベクトルは曖昧ではなく、個人とチームの存在意義を強く醸成したいと思うようになったのでした。

 

現在、クライアント先でいろいろな階層のメンターとしての役割をさせていただいています。目的はシンプルに動機づけのきっかけ支援です。一番大切なことは何か?これはよくよく話に耳を傾けることだと思います。よく話を聞いてくれる人は今の世の中あまりいない。その存在になることが第一歩だと思います。単に時間をかけるというよりも、話してもらうことでまず感情の浄化を図り、次にこちら側が一体相手の課題の根っこは何かを把握すること。そこが互いに確認できたら本人と聞き手であるこちら側がどのように動き出すことでそれが今よりもよくなるかを議論。今よりもよくなるがポイントで、解決を急ぐと失敗することが多いと思います。

こういう話をすると、「まず話が続かないし、相手が話してこないよ」とおっしゃる管理職の方も多いのですが、こちらのペースでやろうとすると難しいのであって、相手のリズムやときにおこる沈黙も容認しながら進めていくとどうでしょうか。理解しようとする姿勢を見せると、相手も同じように思ってくれると思います。

過大な期待はいったん隅において、まずは相手主体で向き合う時間を持つことから動機づけは始まると考えます。勝手なストーリーを描かないことが成功の秘訣ではないでしょうか。