【2019年新卒採用活動雑感】
就職媒体によると全国的にはインターンシップ経由の採用が飽和目安の35%程度まで来るとかなんとか。今年も3月1日に解禁した2020年卒採用活動でしたが、主戦場である愛媛に限って言えば、最初の出会いの場である合同説明会、もしかしたら母集団形成をここ頼みにするのは終わりなのかという動員の少なさでした。

それもそのはず、その後の関与先面接で学生に質問してみると、合セミ自体を入り口にしていない、エントリーまたは選考参加企業が想像以上に少ないのです。考えてみれば、この短期決戦(建前)、企業の情報を出来るだけ具体的に集め、自己分析に基づいて「自分のやりたいこと探し」を主体に考えている学生にしてみれば、3月1日“よーいどん”なんて守るだけバカを見てしまう。解禁日に10人にひとり内定を持っているのも頷けるのです。ちなみに、就活を終わりたい時期についても例年多い「自分が納得するまで」というのが少なくなっているように思います。大体が夏には・・という感じです。

一方、企業側はなかなか大胆なフライングがしにくい雰囲気がどこかあるもの。しかしながら解禁前に直接・関節にプロモーション活動をしていたところの方が結果的にはよかったと思います。同様に、説明会の数を増やした、学生に丁寧な対応を前年に輪をかけてやったことなどは功を奏したのではないかと思います。前述の学生側の就活態度と照らすと合点がいきます。自分のやりたいことの中には「そこは働きやすそうかどうか」が確実に含まれています。つまり「会社の雰囲気や関わる人々の良好な関係性」は、仕事内容やキャリアプランと同じくらい観察しているということです。意識醸成、動機形成は使い古された言葉ですがとても重要な企業側に認識しにくい「フロー」になっているのです。手段は有料ナビに載せる、合セミに出るだけではまったく手薄と言えるでしょう。

現在、選考も佳境ですがこの時期になると応募の本気度もよくわかるようになります。採用担当者の方なら「あれ?前回と熱量が違うな・・」と感じたことがおありかと思います。強敵が現れたと考えて間違いないでしょう。もう一度熱量を上げるのは難しいのですが、一つの方法として、彼・彼女とのファーストコンタクトから今日までを具体的に振り返り、こちらは何を評価して来てもらいたいと考えているか、また学生側としては何をよいと思ってこれだけ自社に時間を割いてくれたのか、そんな話をじっくり「巻き戻して」いきます(こういうことも想定して採用担当者は献身的かつ魅力的な方を選定しなくてはいけないのです。採用活動は業務ではなく使命)。

私の関与先もすべての結果は5月~6月に白黒つくと思いますのでまた気づくことがあればFBかHPでつぶやきたいと思います。本日も「えひめさんさん物語」の一環で東予地区の合同説明会にこれからちょっと行ってきます。

【既存組織や社会人〇年生のこと】
人を採用するならその受け皿から見直さないと失敗するということは、ここ3年くらいの間、招聘されるセミナー何処でもお話ししてきたことです。ほとんどのみなさんが共感いただけますが果たして具体策としてどのようなことが為されているか・・体感した多くの事例もありますが、前項では新卒についてつぶやきましたので「年代ごとに身につけておくと後で困らない」ことについて書きたいと思います。まず20代。
ここでは多くの打席に立ったものが勝者であるという価値観を持ってもらいたいです。別に空振りでもいいし、30打数ノーヒットでもいい。バッターボックスからはみ出て審判に注意されることも、やっと打てたのに3塁ベースに走ってアウトでもいい。とにかく「成果を出す熱意をもって果敢打席に立つ」ことが多ければ、才能あるなし、器用不器用問わず「打てるようになってくる」もの。とにかく何事においても数・量を追求すれば間違いない。乱暴な言い方するとひとつひとつの質などはどうでもいい。むしろ失敗続きのほうが気づく機会が増えて得。この経験値が30代以降でモノを言います。

エッセンスとしてふたつ大事なことがあります。それは「上には上がいることを常に知る」こと。営業職にしても超能力者みたいな人(怪しい意味ではなく天性の凄みを持つ人)は確かにいます。それはどうやっても真似できないもの。総務職にしても何十手も先読みした仕事をするスーパーマンみたいな人がいます。計画設計が凄いのです。経営者に至っては、本当にすごい人は一見すごさを感じない。でも業績や「組閣」を見ると隙がなく、静かに「凄味」を感じるのです。事業を興すときに「身の丈を意識すれば失敗しない」と言われたことを思い出しますが、出来た、わかった、と思った時が一番危険なのだと思います。上には上がいることを常に知ることはすごく重要なことです。

これに関連してもうひとつは「どんな人と時間共有し、仕事をするか」。一日24時間は有限ですが平等に与えられています。だからこそ、どんな人と時間共有するかによって能力や成果には大きな差が発生します。出会いはまさに玉石混合と言えますが、学ぶ姿勢や吸収する意識を持てば得るものは大きいと思います。その中で本当にメンターと呼べる人がいるかどうか。これは世代に関係なく重要なことですが、年を取れば取るほど能動的に動かなければ向こうからはなかなか来てくれなくなるもの。

働き方改革が叫ばれて久しいですが、経営者はもちろんこのことに真摯に向き合わなくてはいけないのですが、働く側、特に社会人駆け出しのときは、その後の長い人生を主体的に過ごすために、自分がイメージした目標に応じた「負荷」をかけていかないと何者にもなれないのではないかと思います。駆け出しの時にそうではなかったな・・と振り返る方は、今からでも固定概念にメスを入れて考え方や行動を変えていけばいいのではないかなと思います。
ひたむきな個人が集まる組織は、必ず上昇気流に乗れるというのが持論。得ではなく徳を追求すれば、見える景色も取り組む姿勢も変わってくるのではないかと信じて、私は課題に向き合っています。気づきやきっかけを生めるよう私もまたひたむきにやりたいと思います。

【30代そして40代】
終身雇用が実質崩壊したといえる日本の世の中です。かくいう私も期せずして20代に全力を注いでいた企業をやむなくドロップアウトしたのは33歳の時。敗者復活が難しいといわれる日本の社会を肌で感じました。今は年齢で中途採用の合否が決まったりしないので当時とは違いますが、やはり自社成果創出コンピテンシーの高い低い、または特定の技能の有無は重視すべき選考基準になると考えています。もちろん会社に所属している社員の方にも同じことが言えます。つまり、ここまでの打席数と打率が問われてくるということです。組織の長になる方にはEQも適性として焦点があたります。

これら一朝一夕に身につかない能力を考えたとき、一番重要なのはロールモデルの存在ではないでしょうか。私の感覚から言うと、自分に負荷をかけてくれる人、自分の価値観を揺るがす人、変化をせざるを得ない状況をつくってくれる良い意味でのストレッサー。どんな人にも人生の中で出現していると思うのですが気づくかどうかも大きな要素でしょう。もしかしたら自分よりも若年かもしれません(私は40代になってとてもそう思います)。本質は砂上の楼閣にならないようにしっかりとした土台の上に成り立つのであれば、今すぐ「何を建てるか」を目標設定し、ひとつでも多くの石垣を積み上げていくことだと思います。つまり、誰にとっても遅いのではなく今からすぐに始めれば自分にとって一番早いということです。

安藤百福がカップヌードル発明したのは61歳、やなせたかしがアンパンマンでブレイクしたのは68歳の時。何事も挫折挫折の末の強固な意志の積み重ねの上に成り立っていると思う。時代は令和となりますが、私も城の考察と検証を行いながら、石垣を積み上げることを忘れずに臨みたいと思います。