機能する組織の創り方・・。これまで経験した様々な案件に関して思うことを5つにまとめて書いてみます。 

 

①本質的なコミュニケーションが平時からできている。

 

進退が出て面談というのは慌ててやりがちなことですが、好不調関係なく、上司、部下が時間を共有している状態が保てているところは、いざ何か問題が起きても重症にならずにすんでいるかなと思います。平時、が味噌です。面談力や状況把握力は恒常的にスキルアップしておかなければならないところです。 

 

②役割(責任範疇と権利範疇)が明確かつ、前工程後工程が連携している。

 

部門を跨いでのコミュニケーションは非常に難しいでしょう。よくいう営業と製造の確執は最たるものかと思います。原因はお互いに別のモノサシで同じものを測ろうとするからであります。相手の仕事を細かに理解しないと連携は図れないでしょう。

 

まずは上長同士が情報共有し、それをそれぞれのチームに落とし込んでいくことが習慣化されることが大切です。*実はこのあたりがボトルネックになっていることが多い。 

 

③大隊長、中隊長、小隊長が縦に連携し、指揮系統がはっきりしている。

 

役割、特に「やらなくてはいけないこと」と「やらなくてもいいこと」を明確にしておくことが大切です。単的に平たく言うと、大隊長は中隊長にのみシビアで細部にわたる管理をしておけばよくて、小隊長には、動機づけに繋がることを行う。中隊長はこの小隊長をしっかり管理すればよいのです。手柄を取りに行こうと、本質的な自分の範疇を越えていくと不平や不満、バラバラな指示による前線の混乱などが出てきて機能しなくなります。我欲を抑えることが管理には必要かなと思います。 

 

④それぞれの隊長は鍵となる人財と連携して組織運営を推進させる。

 

一人の眼が行き届く人数はたかが知れています。また、大隊長一人のやり方では多様な価値観を持つ人材は扱えません。すなわち隊長と副隊長は、互いに連携や刷り合わせは常態的に行っていても、性格や特性は違っている方がよいと思います。

 

組織は、目標・目的に対して責任を取る頂点と、その目標・目的を理解して運営推進していく直轄がいて、そこから前線の部隊へ作戦を細分化し役割を果たしてもらうべく支援していくことが望ましいと考えます。右腕、左腕という言い方がありますが、組織運営においてやはりそういった存在は重要です。もちろん彼らは単なるイエスマンではなく、前線の声を届けて運営に反映させることも役割となります。双方向性を保ち、全社最適で考えられる人材が望ましい。そんな優秀な人財はいない!と嘆かれる方も多いのも現実です。こういった人財は、もともとの素養も大切ですが、隊長そのものの行動や思考に共感することが土台として必要なので、まずは「なって欲しい姿を自ら示す」隊長の気概が出発点となります。 

 

⑤評価の基礎に“公平”という価値観がある。

 

とかく平等が美学であるところも多いと思います。限られた人材、限られたリーダーであればいたしかたない部分もあるでしょう。しかしながら、これをやっていると新しいリーダーが育たなくなってきます。いわゆる年功序列が大きく働き、凝り固まった思考しか生まれてこなくなります。

 

スポーツでも、初めて抜擢された選手が活躍してその後、レギュラーをとってしまうことがよくあります。つまりはチャンスを与えていく環境が必要であると思います。それを受容できるような組織作りも大切でしょう(既存の上司が潰しにかかったりは大企業だけで十分です)。また、敗者復活させられるようなしくみも準備しておくべきです。とにかく思い切って新しい力に躍動してもらう環境を整えられるかどうかは、組織の原動力作りと比例していると感じます。採用前にまず“受け入れ器の検証”をご提案するのはこういった理由からです。 

 

以上、思いつくがままに5点挙げてみました。もちろん他にもたくさんのヒントや要因はあります。また、他に当てはまっても自社に当てはめると違うことも多いでしょう。しかし、「着手」しないと知らぬ間に手遅れになる、いわゆるゆでガエルのような状態は避けなければなりません。順調な時、可もなく不可もなくといったとき、ぜひ一度自組織を紙に書いて見つめ直し、1年後、3年後、5年後をイメージしてみてください。きっと何か「着手」しなければならないことが見えてくると思います。