2019年卒採用活動進捗所見
今年も新卒採用について、メインのフローが終盤戦を迎えています。私自身は採用設計・支援先5社、面接代行120人とコンパクトな活動でしたが、対企業、対学生で起こったことをいくつか書き留めておきたいと思います。読まれる方の参考になれば幸いです(これは愛媛県での活動です)。
3月1日、情報サイトの解禁とともにスタートしたのは前年と同じでした。大きく違うのは合同説明会に金融系がめっぽう減ったこと。採用人数を抑えているのでそれはそれでつじつまがあっているのかなと思います(某学内セミナーでは盛況だったらしいですが)。そうなると学生がまず足を運ぶ「人が溜まる」ブースから散り、とにかく会場内を巡回していたことになります。後で多くの学生から聞いた話ですが、
「合同説明会でいいなと思った企業しか受けていません」
・・ということは、合同説明会で学生から企業は「選考」されているということになります。単独説明会に動員できなかったところは、合同説明会の見直しが必要です。
補足ですが、3月前半までの合同説明会と後半からの合同説明会は、動員に大きな差が出ています。もちろん前半のほうが総数は多くなっています。
続いて企業別単独説明会について。学生側のスケジュールがタイトなのは前年で大体わかっていること。一度に多く集めるというよりも、日程数を設けて参加できる枠を増やすほうが後々のためにはよかったかと思います。少人数制のほうが満足度は高く、運営スタッフとの接触も増える。こちらも後々の学生の話を聞くと「大人数よりも少人数」のほうが動機形成に役立っているように感じます。企業側としては少ないと「人気ないと思われる」と考えがちですが、「日数を設けてたまたま今日は〇人だけど、総エントリーは〇〇人です。本日は少人数でラッキーでしたね」くらい言ってもよいと思います。学生は人気云々よりも自分が行きたいと思う企業は冷静に判断していると思います。
選考。承認欲求が高いのが一般的な今どきの学生。良い悪いではなく「自分は何者かの根拠が欲しい」というところが本当のところです。私はとことんコンピテンシーを深堀する面接をしますが、学生も「話せた」「聴いてもらえた」というのは重要な決め手となると思います。選考は設計から実施までの品質を学生に比べられています。この辺りも綿密に準備しておきたいものです。
面接から内々定。以下は傾向。
「7月迄には就活を終了させたい」
「受けている企業様はすべて受けきってから判断させていただきたい」
「新卒期間は今年一回なので納得できるまで就活は続けたい」
「6月以降も正直受ける予定である」
「御社は同率1位です。もう一社とじっくり照らして考えたい」
「御社は第一位群です。すぐには決められないと思います」
割と正直な答えをしてくる学生が多いと感じます。確かに新卒期間は今年一回(第二新卒という考え方もあるが)。だからこそ悔いのないように自分の納得を求めて・・というのは理解できます。が、中小の社内事情や内定者への教育、特に入社前に資格取得を支援する所などもあるため、いつまでも待てるかというと現実的ではないところがあります。
もちろん学生本人の意志が尊重されるべきですが、企業側は自社内の確定時期を過ぎると、手を放してしまうと思います。つまり1位から2位へ、2位から3位へと候補者が移行していくということです。入社に遜色ない候補者はグロスで考えます。かといって辞退を見越した内定数を多く出すというのも昔ほど多くないと思います(大手チェーン店は別)。
そういった企業側の理屈を踏まえると「納得感ある活動を際限なくイメージしている学生」は、一旦内々定を手にしても、こぼれていくような経験をすると思うので心配にも思います。当然私は終われ終われとは言わないので、本人の意思確認ののち、関与先各社の考えを聴くわけですが、やはり獲得人材として優先は「動機の高い学生」になっていきます。
並行して中途採用にも関わっていきますが、やはり第二新卒は多く存在していて、
この就活の早い流れと自らのスケジューリングに不具合があり、結局どこにも決まっていない卒業生
納得感を求めていったが、思った以上に弾が減り、結局長期化だけが残り、遅くに妥協した行き先が長続きしなかった短期退職の若年
就活フローにはのっかり、4回生夏休みまでに決まったが企業・仕事理解が曖昧だったためミスマッチが生じて続かなかった若年
のような属性に分けられます。
現在の倫理憲章には、私みたいなものでも物申したいことはありますが、その枠組み・縛りの中で考えた場合、企業側は早期に人材を確保するというのではなく、いかに限られた時間で社内の資源(金<人)を動員して学生たちに「働きたい職場」を理解させ、動機付けることができるかにかかっていると思います。そして、動機づけに値する器づくりに日々取り組んでいくことが、実は採用力の一番の強化となることに気づいて、すぐに具体策を打つことだと思います。
人材獲得には、面倒くさいことを能率よくやっていくことが求められています。