毎日秋の深まりを感じる今日この頃です。夜の帳もすっかり落ちた仕事帰りに車を運転していて、空気の入れ替えをしようと窓を開けたら凍えてしまいました。
私は主に企業の採用活動に関して並走支援を軸とした形でご要望にお応えする事を生業としています。というかしていました。並走支援とは、関与先に外部から情報やノウハウと言った“刺激”を提供しながら、地力をつけていただくことを目的としています。アウトソーシングで投げていくことは、兼務が多く、煩雑になりがちな中小採用担当者にとって便利だとは思いますが、非常に刹那的で結果的にはあまり残るものがないのではないかと考えるからです。もちろんあくまで持論です。
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もともと前職は採用媒体の代理店におり、その前は複数の県で営業マネージャーをしていました。特に新卒で12年間在籍した会社。その職務の根底にあったのは「営業でいかに成果を残すのか?」ということでした。自ら売る事はすべてのスタートとして当然の順番なのですが、チームを率いて会社からの大目標を達成すると言うことは、人を募集・採用する、どんどん年齢が乖離していく部下を育成して一人前にしていく、期待するようには育たないもどかしさ、全く予測のつかない定着率、日々の日計をみつめて売上ペースをプラスに持っていく方法を悶々と考えながら日付の変わった事務所を出る日々・・針の筵のような自分の居場所の中で、一瞬の輝きを求めて実現し、またそれを味わいたいと思うのでした。採用から受け持った新人の初契約、昇格、自分のチームが成績上位で名を馳せた時、まさにほんの一瞬ですが他には替え難い人間のどこかにある何かが覚醒するのです。そしてそこからまたそれを味わいたいと99.999999%の苦痛を乗り越えようとします。つまり、持論ですが何かを乗り越えたり成し遂げたりすることでしか分からないものがあり引き返したり回避したりしていると分かり得ないことがあると思います。すべて自分でとは言いませんが、何事においても思考を他人に預けず、組織全体を慮り、出来る限り自分で継続的に続けることに意義があると思います。静かなる自信は、自分にかけてきた負荷とクリアした量に比例するのではないでしょうか・・事実、現在営業案件で関与している複数社はこの考え方をベースにした様式を実施し、成果が出ています。その成果と同時に、関わっている当事者の方々の表情や会話が見る見るうちに魅力が増しているのです。自らに課した「負荷」と「クリア」できたという事実がそうさせているのだと思います。
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現在、採用の枠を飛び越して幅広い方々と深度の高いお仕事をさせていただくことが増えてきました。そのテーマはすべて「現状の組織課題を改善・解決していく」ということです。案件ごとにシチュエーションも違えば、発注者(ほとんど社長ですが)の到達イメージも千差万別。経験や性格上、密な準備を行ってひとつひとつの案件に取り組ませてもらっていますが、ひとり冷静になった時に、「果たして自分の範疇として正しいことができているのか?」「自分にはあんなことをいう立場にあるのか?」などといったことが、反省や検証とともにぐるぐる頭の中をめぐることがあります。そんなときに下支えとなっているのは経験からくる負荷とクリアの関係性。営業的な課題にはほぼ共通して当てはまり採用に対する取り組みにも応用が利くと思います。目標、期限、ペース、進捗管理方法、そして深化施策。しくみ化すると言うことはすなわち習慣化することなので、職務の共通言語を成した時に課題の霧は晴れてくるはずです。うまくいかなくても途中で投げてはいけません。改善の余地がある限りはこだわり続けることだと思います(余地がなければ速やかに撤退して代替案を!)。
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「こんなことを考えているんですけれどどう思いますか?」先日、ある課題に関して、いつもは決して積極的とは言えない係長職の方から資料添付で相談を受けました。自ら取り組むことが、考えていることが、ものすごい素晴らしいことだと思います。中身云々を気にされていましたが、やってみないと分からない。喜んで協力する旨お伝えしました。
「今実はこのような課題があって、私はこのように考えています」先日の採用担当者セミナーで、某会場で最後まで発言されなかった担当者の方が堰を切ったように情熱的に話されていました。その問題意識が何かを変えていくに違いありません。時間制約の中で物足りなかったと思いますのでいつでもご相談くださいとお伝えしました。
各所、経営陣がいらっしゃって社員層とは違う中期的な考えのもと、行っていることも多々あります。変革のタイミングを見計らって現状維持に甘んじていることもあります。そういったも意味では「正しいことをしたければ偉くなれ(和久さん)」の言葉は至言。
しかし、実現の可否は別として、現場の課題を吸い上げていくことにはなんらマイナスはないはずです。会社という組織に所属しているひとりひとりが当事者意識をもって、自分の利益ではなく組織の利益を考えることはなんら不健全ではないと思うのです。よく本などで「経営感覚をもった社員を育成したい」とありますが、責任と裁量、考える風土を作って行かないと実現は難しい。もしそういったことが与えられた組織であれば、ひとりひとりが範疇をわきまえたうえで順序を守り、互いを尊重し、会社を愛し、現状の混沌に立ち向かいながら、いずれ来る次へのバトンをがっちりと渡していく。予定調和の無い社会生活の中で、毎日の出来事をしっかり見つめ、よりよい明日に繋げるために今できることをやっていく。「組織を変える」ことはこの積み重ねでしか実現し得ないと思うのです。現実的に経営陣の柔軟な変革が、組織全体を劇的に変えている例もまま御見受けします。
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蛇足ですが私には、プラスにもマイナスにも教材となり得る多くの元上司、考え方の源泉を与えてくれロールモデルとなった先輩方、そして自分を鼓舞してくれたたくさんの後輩たちがいました。不思議なものですべてが絶妙なタイミングで私の人生に登場し、そして去っていったと思います。もちろん継続的にお付き合いしている方もいますが、今は自分の新たな立場で、新たな人々と難易度の高い仕事を共有する中で吸収するものも多かったりします。仕事漬けだった時期もあり、絶対的に関わる時間が普通の会社員よりも多かったかもしれません。また、近頃はメンター的な役割を果たす場面も多くなってきましたので、しっかりとプラスの影響を及ぼせるようにしていきたいと心がけています。こんな私もくじけそうになることがありますが、過去の断片の中で、一緒に、ひたむきに目標を追いかけた仲間が耳元で囁きます。
「その程度のことで何悩んでいるんですか(笑)」
常に運命を切り拓くのは自分です。その背中を押し、しんどいことも共有し、それを使命としてやっていくことが私の役目だと思っています。私の背中をたくさんの人が押してくれるからこそそう思います。